2023.4.25
2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法により、電子取引における電子データ保存が義務化されました。
電子取引の電子データ保存に関しては、2023年12月までの猶予期限が設けられているものの、期限内に取るべき対応に関して不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
電子帳簿保存法は、個人事業主から法人まですべての事業者に影響するため、期限内に準備を進めておく必要があります。
この記事では、電子帳簿保存法の種類や取るべき対応などを詳しく紹介します。
電子帳簿保存法とは、日本国内で事業を行う個人事業主や法人が、請求書や支払明細書などの紙の国税関係書類や帳簿を電子データで保存することを認めた法律のことです。(国税庁管轄:電子帳簿等保存制度特設サイト)
この法律に基づき、事業者は帳簿書類を適切に保存することが求められ、保存する際には帳簿書類の改ざんを防止するための対策を講じる必要があります。
電子帳簿保存法は、紙から電子に移行することにより、業務の効率化やコスト削減につながるとともに、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ、国税関係帳簿書類の保存にかかる負担を軽減することを目的としています。
なお、電子帳簿保存法の主な保存区分は、以下の3種類に分けられます。
ここでは、それぞれの保存区分の概要を紹介します。
電子帳簿等保存とは、自分が会計ソフト等で作成した帳簿や決算関係書類などを電子データのまま保存することです。
対象となる帳簿や書類の種類は、仕訳帳、総勘定元帳、売上帳や財務諸表、請求書などが挙げられます。
これらのデータを保存する際には、データの暗号化やパスワードによるアクセス制限、バックアップの定期的な取得などを行い、セキュリティ対策を講じることが求められます。
スキャナ保存とは、紙で発行・受領した書類をスキャン文書で保存する方法です。
スキャナ保存で取り込まれたデータは一定の要件の下で、書類による保存に代えてスキャン文書による保存が認められています。
具体的には解像度200dpi以上、カラー、検索機能の確保などが挙げられます。
スキャナ保存は、紙の帳簿や書類の取り扱い、保管にかかる手間やコストを削減することができるため、多くの事業者にとって有用な選択肢となるでしょう。
電子取引とは、電子的に受領した取引情報をデータで保存することです。
具体的には、取引を行ううえで発生する請求書や契約書、注文書や見積書などを電子データでやり取りすることを指します。
メールで取引データを受信した場合、請求書などの添付ファイルはもちろん、取引情報が記載されている当該メールも保存対象となります。
また、スマホアプリ決済も電子取引に該当します。
2021年12月に公表された令和4年度税制改正の大綱により、電子取引を行った際の電子データ保存義務については、2023年12月31日まで猶予期限が設けられています。
そのため、まだ対応できていない事業者は、この期間を有効活用して法対応の準備を進める必要があります。
以下の3つのステップで、準備を進めていきましょう。
まずは、自社の取引状況を確認しましょう。具体的には、以下のような点です。
続いては、データの保存方法と保存場所を決めます。以下の点に注意して進めましょう。
データの破損などを防ぐためのバックアップ体制を構築し、部署ごとに違う場所・方法で保管することのないよう社内ルールを周知しておくことが大切です。
業務フローやマニュアルの見直しといった社内ルールを決め、必要な情報を社内の関係者に確実に知らせましょう。伝えるべき情報を整理しておくと、スムーズな社内周知につながるでしょう。
「Aは電子データで保存」「Bは紙で保存」のように、紙と電子での二元管理を行うと、必要な情報を探しづらくなって業務効率が低下したり、検索性や閲覧性が落ちて情報共有がしにくくなるといったリスクが生じます。
また、紙と電子という二つの情報の取り扱いに関するルールや管理方法について従業員に対して教育の必要が生じるなど、時間や手間がかかります。
紙での保管を無くして、電子データでの一元管理を行えば、コスト削減や経理業務の効率化の実現につながるでしょう。
電子取引における電子データ保存の義務化がせまっているなか、まだ対応できていない事業者も多くいるのではないでしょうか。
電子帳簿保存法に違反した場合の罰則として、青色申告の承認取り消しや、会社法の保存義務違反により過料が課されることがあります。また、会社としての信用を損なってしまう可能性もあるため注意が必要です。
「株式会社PDC」では、お客様のご要望に応じて各種電子化サービスをご提案しています。
主なサービスの内容は、電子化前後の作業の代行や、ご希望の形式での画像データ作成、大量にある原稿のスキャニングなどです。
この他にも、電子帳簿保存法に対する相談や対応も柔軟に行っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。