2023.9.26
日本では毎年のように自然災害が多く発生していますが、いつどこでどのような災害に巻き込まれる可能性があるかを正確に知ることはできません。
企業が災害に巻き込まれると、組織の継続と生き残るために必要な記録であるバイタルレコードが失われてしまい、事業の継続が難しくなる可能性があります。損失を防ぐためには、BCP対策でバイタルレコードの取り扱いについて組み込むことが重要です。
この記事では、BCP対策におけるバイタルレコードの取り扱いや、おすすめの保管方法などを紹介します。
BCPとは、事業継続計画のことで『Business Continuity Plan』の頭文字をとっています。
大規模自然災害や感染症の流行などの事業継続リスクが発生した際、被害を最小限に抑えて、スピーディーな復旧を実現して事業を継続することが目的です。
出典:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」(https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html)
ここでは、BCP(事業継続計画)について詳しく解説します。
BCPを策定するメリットは、災害が発生したときに事業継続のために速やかに対応できる点です。
大地震や津波など予測不能な緊急事態が発生すると混乱が生じ、平常時に比べて正常な判断ができなくなります。対応が遅れることで事業の存続ができないほどのダメージを受けることもあるでしょう。
BCPを策定することで、災害発生時の具体的に取るべき行動を可視化できることや、リスクなどを明らかにできます。また、取引先からの信頼性向上につながる点もメリットです。
大災害が発生して事業の存続ができなくなると、取引先にまで被害が及ぶため、BCPを策定しておくことにより顧客や取引先からの信用度が高くなります。
BCPの策定は労力や時間の面での負担が大きいことから、コンサルティング会社への依頼や、テンプレートを活用して作成するのがおすすめです。
BCP策定方法の大まかな流れは、下記のようになります。
事業の運営方法や取り巻く環境は常に変化しているため、定期的に見直して実態に合うようにアップデートする必要があります。
また、BCPに沿った適切な行動を取れるようにするためにも、従業員に対して事前に教育・訓練を実施することも重要なポイントです。
バイタルレコードとは、非常事態に遭遇した時にも、組織の継続と生き残るために必要な記録のことです。
具体的には、設計図、見取図、品質管理資料等、復旧・代替生産等に必要な文書、統制、法令遵守、説明責任確保のための文書、権利義務確定、債権債務確保のための文書などがあります。
内閣府が公表している「事業継続ガイドライン 第2版(2009年11月)」では「企業の存続に関わる文書や代替情報が他に求められない文書」としていたが、東日本大震災の後に公表された「事業継続ガイドライン 第3版(2013年8月)」では「自社における文書を含む重要な情報」とし、文書から情報へと範囲を広げました。
バイタルレコードが消滅すると、事業が存続できないことで収益への影響が出たり、法令順守や説明責任能力が喪失するなどのリスクもあります。BCPでは災害時に事業を続けるためにも、バイタルレコードの管理や保管が重要となります。
ここでは、BCPにおけるバイタルレコードの取扱いについて詳しく解説します。
バイタルレコードは、災害の規模や種類、災害発生時からの時間の経過によって必要とするものが変わります。
そのため、BCPでは災害発生時からの緊急度に応じたバイタルレコードの選別が必要です。
事業内容や環境の変化に伴って、対象となる情報が変わってくることから、定期的な見直しを行うことが大切です。また、バイタルレコードとして操作マニュアルや手順書などを含めている場合は、定期的な訓練を行い必要な修正をしましょう。
バイタルレコードが災害時に紛失しないことや、必要に応じて情報を取り出せるようにBCPに取り込むことが重要です。
バイタルレコードの損失を防ぐためには、保管方法にも注意しましょう。バイタルレコードの保管方法には、紙媒体や電子媒体があります。
非常事態ではコンピューターが使えないことも想定しなければなりません。
非常事態の発生時に直ちに必要となる情報と、すぐには必要のない情報を分けて考え、すぐに必要になる情報(災害対策マニュアル等)は、電子データだけでなく紙媒体で身近な所に保管する必要もあります。
公正証書化の義務がある任意後見契約書のように、紙媒体で保管しなければならない書類もごく一部ありますが、それ以外の書類については文書の電子化をおすすめします。
電子化することで、災害が発生したときにバイタルレコードが紛失するリスクを下げることができます。電子化したデータはクラウドシステム上にデータを保管したり、サーバーを2拠点以上で管理することも検討しましょう。
バイタルレコードの電子化には手間がかかるため、少しでも負担を減らすなら業者に依頼するのがよいでしょう。
南海トラフ巨大地震など、将来の大災害について各種メディアで取り上げられていますが、そのような災害に巻き込まれた際にでも、事業を継続できる体制づくりが重要です。
そのベースとなるのがBCP(事業継続計画)になりますが、事業に関する情報が詰まっているバイタルレコードの保管や管理なども、BCPに組み込む必要があります。
災害時にはバイタルレコードの損失リスクもあり、それが原因で事業の継続ができない可能性もあります。そうならないためにも、BCP対策としてバイタルレコードの電子化をおすすめします。
『株式会社PDC』では、業務改善のための文書情報電子化サービスを行っています。ご要望の形式でデータを作成し、バイタルレコードの電子化にも対応しています。
BCP対策としてバイタルレコードの電子化を検討している方は、ぜひこの機会にお問い合わせください。